FUSION 多摩ニュータウン学基礎講座 - ライフスタイル革命

基礎講座 第1講

ライフスタイル革命


 多摩ニュータウン学の基礎的なキーワードを取り上 げ,地域に密着した問題を考えてゆきたいと思いま す.今回は,ライフスタイル革命です.

 私たちの生活の空間的拡がりを考えてみますと家 族、地域、職場という大きく3つの領域があります。そ のなかでも、とりわけ家族と職場が大きなウエイトを 占めています。それに対して地域は、他の二つの山脈 の谷間に埋もれた空間といえます。しかし、自己実現 を図る第3の場としての地域という意義を今回考えてみ ましょう。

 現在、家族のあり方は「夫婦別姓」に代表されるよ うに多様になりつつあります。職場も、終身雇用、年 功序列などという従来の日本的経営も揺らぎつつあり ます。大きく日本社会全体が新たな21世紀の時代に向 かって大きく転換しつつあります。地域も例外ではあ りません。従来は、全日制市民と呼ばれた主婦たちや 古くから住んでいる人によって地域活動は支えられて きました。しかし、これからは定時制市民と呼ばれた 男性や新住民も、地域活動に「貢献」,「参加」する のではなく、「自己実現を求めて自発的に参画する時 代」がやってきているのではないでしょうか。それを 教えてくれたのは、95年の阪神淡路大震災でした。

個々の生活を支えるのは、行政でも、企業でもなく、 自分自身と家族であり、そして地域に暮らす人々の協 力・連帯であったことを教訓として示していたと思い ます。(100万人を越えるボランティアの存在について は次の講座で述べたいと思います)

 次に、生活を世代的にみますと、現代のライフスタ イルが極めて偏ったものとなっています。それは『三 過ぎ』状態といわれます.すなわち「子供は勉強し過 ぎ、成人は働き過ぎ、高齢者は暇過ぎ」といわれるも のです。今後は、「子供には遊びも、成人には学習 も、高齢者には仕事も」というバランスのとれた、多 様なライフスタイルが選択できるような社会構造への 転換が求められています。どの世代にも,遊び,学 習,余暇の3つの要素がバランスよくなければなりませ ん.

 以上のように,私たちの生活の空間及び世代的なア ンバランスについて述べてきました.そこで,バラン スのとれたライフスタイルを身近な地域社会から築い ていくことが重要となります。それぞれの世代の持っ ている能力を,お互いに交流させることで可能となり ます.「実験都市」といわれる多摩ニュータウンです が、新たな21世紀型のライフスタイル革命をこの長池 から始めてみようではありませんか。

(蓮生寺公園通り一番街 炭谷 晃男