FUSION 多摩ニュータウン学基礎講座 - NPO

基礎講座 第2講

NPO


 これまでの日本社会は,公的な部門は行政が,私的な部門は企業がそれぞ れ大きな地位を占めてきたといえます.それに対して,第3の部門としてボ ランティア活動をはじめとする「公益非営利活動」という市民が主人公に なった部門を確立させようとする「特定非営利活動促進法(NPO法)」が3月 に公布され,12月1日をもって施行されることになりました。NPOとは、Non Profit Organizationの頭文字をとったもので、非営利的組織です。行政組 織ではなく(非政府性)、利益追求ではない(非営利性)、公共の利益のた めに自発性に基づき活動する民間組織をいいます。

経済企画庁が,全国規模で行った市民活動団体の調査では、85786団体 あったそうです(「市民活動レポート」)。そのサンプル調査の結果では社会 福祉系が37%を占め最も多く,以下,地域社会系,教育・文化・スポーツ 系,環境保全系,保健医療系,国際交流系となっていました.しかも,活動 費が10万円以下が1/3を占め財政規模が脆弱であることもわかりました.法 人格の必要性を感じたことのある団体は12%であり,全国でおよそ一万程度 の団体が法人格の必要性を感じていることになります.それに対して,アメ リカでは既に100万以上の団体がNPOとして福祉、環境、教育などの分野で活 動し、アメリカの社会を草の根で支えていると言っていいでしょう。

今回のNPO法の意義は、市民団体が比較的容易に法人格を取得できるこ と。そして、組織、会計を明確にして、透明性を持った組織運営が期待され ることなどがあります。ただ、問題点も残されています。寄付金控除等の税 制優遇が認められなかったことです.税率においては,営利法人と同じ法人 税率で,寄付も原則として損金算入が認められないことになり,この意味で は営利法人と変わりません.そのうえ,営利法人とは異なり,社員に配当も 出来ず,金銭面ではNPOに対して極めて厳しい法律となっています.そのた め、法律には3年後の見直し規定が盛り込まれていることからアメリカのよ うな寄付金控除措置等の税制優遇措置導入が大きな課題として残されていま す.

 問題点も残されている法律ですが、この法案の趣旨が生かされるか否か は、まさに日本の市民社会の成熟度そのものがテストされているように思い ます。多摩ニュータウンには多くのNPOが育ってゆくシーズ(種)がありま す。この長池からもNPOが生まれ育っていくようにみんなで応援しようでは ありませんか。

(蓮生寺公園通り一番街 炭谷 晃男