FUSION 多摩ニュータウン学基礎講座 - 街区公園と地区公園

基礎講座 第6講

街区公園と地区公園


 多摩ニュータウンの良さは,緑豊かな環境にあると言えるでしょう。私が実施した居住環境調査 (97年)でも,満足度の高かった項目は,@緑の豊かさ,A日照,風通し,B町並みの美しさ,C 公園の順となり,緑と公園の評価が高くなっていました。

 公園については,70年3月に策定された「多摩ニュータウン公園緑地計画」に基づいて新住事業 と区画整理事業によって整備されてきました。さらに緑豊かな環境を作り出すために「緑とオープ ンスペースは住区面積の30%以上を確保すること」が取り決められました。その結果,自治体の管 理する都市公園一人当たりの面積では,東京都の中では多摩市が最も広くなっています。都下多摩 地域平均の約2倍,特別区平均の約3倍の面積があります。なんと贅沢な地域に住んでいるのでしょ うか。

 ニュータウンには総合公園として多摩中央公園と稲城総合公園があります。この中央公園を除き ますと,公園は3種類に区別され計画的配置がされています。各住区ごとに4〜6ヶ所程度に「街区 公園」(101ヶ所)。各住区ごとに2ヶ所程度に住区居住者が利用する「近隣公園」(34ヶ所)。さ らに,2〜3住区に1ヶ所の割合で「地区公園」(9ヶ所)が整備されています。(注:数字は96年現 在の新住地区について)FUSIO地域を例にしますと,長池公園,内裏公園,上柚木公園,富士見台 公園は「地区公園」,秋葉台公園,別所公園,蓮生寺公園,大平公園などは「近隣公園」となりま す。

 このように快適な緑の空間を提供してくれる公園ですが,課題がないわけではありません。 ニュータウンの公園はほとんどが都市公園であり,旧来の雑木林が残されているわけではありませ ん。その点,蓮生寺公園や長池公園は比較的多摩丘陵の植生が残されている貴重な公園だといえま す。2番目に,公園の中にはあまり利用されていない所もあります。今後は,高齢化・少子化とい う状況を受け,公園のリニューアルが必要となります。ユニバーサルデザイン,防災面での機能兼 備,ビオトープなど生態系への配慮などが求められます。さらに,多摩市の「とちのき公園」のよ うな公園を作る段階から,住民の意見を採り入れた住民参加型公園整備の発想が必要ではないで しょうか。3番目に,維持・管理面についても,世田谷区の羽根木プレイパークのように住民参加 で子供の遊び場を作りあげています。多摩市では,雑木林の維持管理をしながら椎茸栽培や炭焼き などを行っている「ドングリ山」や,旧東永山小学校等の法面にある梅の木を,市民団体が剪定・ 管理をしている事例もあります。

 むろん住み手である,私たちにも問題がないわけではありません。自分の庭やベランダを花で 飾ったり,団地内の草取りは行なわれますが,地域の道路や公園の維持・管理は市任せになってい ないでしょうか。多摩市では公園愛護会が組織され,公園の花植や散水及び除草等の管理が行われ ています。公園という公共空間を住民自ら管理することを通じて,地域のコミュニティのつながり や,地域に対する愛着も芽生えてくるのではないでしょうか。公園も,私たちの貴重な共有財産で す。

 次回は,「道路」についてを予定しています。日頃道路についてお考えになっていることがあれ ば,どうぞご意見をお寄せ下さい。

(蓮生寺公園通り一番街 炭谷 晃男