FUSION 多摩ニュータウン学基礎講座 - 橋梁は生活の架け橋

基礎講座 第9講

橋梁は生活の架け橋


多摩ニュータウンは坂と橋のまちです。NTには142の公団 施工の橋があります。1.長池見附橋,2.くじら橋,3.さえず り橋,4.ホームラン橋,5.剣橋,6.弓の橋,7.かざみどり 橋,8.バルコニー橋,9.夕焼け橋,10.鶴乃橋,11.風の橋, 12.るんるん橋,13.ささやき橋など楽しくなる名前がたくさ んあります。土木学会賞を受賞した橋も長池見附橋,鶴乃 橋,くじら橋の3橋あります。皆さんはいくつの橋をご存知で しょうか。

NTの橋はその性格によってa.ランドマーク&シンボルとし ての橋(1,2,3,4,5,6,)、b.集う橋・ふれあう橋(7, 8,9)、c.地域と調和した橋(10),d.連続性・統一性を考 慮した橋(11)の4つに分けられます。いずれの橋も周辺景観 との調和に配慮しながらつくられています。

手元資料にある公団施工の132橋についてみると,八王子市 区域に9橋,多摩市区域に127橋,稲城市区域に12橋となり, 初期開発された多摩市区域に集中しています。さらに,橋梁 は道路橋と歩行者橋に分かれますが,道路橋は12橋で,その ほかは歩行者橋となっています。それには理由があります。 多摩NTは多摩丘陵を開発した地域で,「歩車道分離」(第7 講)に基づき道路計画されました。車道をまたいで,多くの 歩道橋が建設されました。「近隣住区論」の徹底した多摩市 地域で最も顕著な傾向がみられることになりました。

NTの橋梁は次のような4つの時期に区分けされます。第1 期 機能追求型(71年〜75年/18橋),第2期 形態追求型(76年〜 80年/47橋),第3期 環境重視型(81年〜86年/40橋),第4期 総 合計画型(87年〜現在/26橋)となります。最近の橋梁設計思想 は,地区単位の橋梁を群として総合的観点から捉え、橋梁群 相互の調和を図るとともに、街づくりの理念や思想を橋梁自 体に反映させることにあります。その代表として別所地区が あり,長池見附橋がそうです。長池見附橋は長池地区のシン ボルとなっています。

さて,私が好きな橋を紹介させてください。「405号線道路 橋」(写真)で固有名がありません。蓮生寺3番街と2番街の 間にある蓮生寺公園へのゲートをなす重複アーチ橋です。曲 線を主体にしたゆるやかなデザインはグリム童話の世界に誘 われる思いです。橋梁は実用性とともに,そのデザインがア メニティ性を高め,居住者の生活を静かに支え,見守るもの です。その意味で橋梁は生活の架け橋といえます。

(蓮生寺公園通り一番街 炭谷 晃男